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2007-09-19 Wed 10:17
新居に引っ越してから1週間も立つと、メーオは完全に回復した。
顔の傷の後もほとんど見えなくなり、下腹部に感じていた鈍い痛みもきれいさっぱりなくなったようだった。 メーオが元気になるという事は、この上なくうれしいことなのだが、それと同時に、メーオが黄金町での仕事を再開するという事も意味していたため、私は複雑な気持ちだった。 しかし、メーオは私の気持ちを知ってか知らずか、 「もうすぐ仕事を始められるわ。」 「ばんばん働いて、ばんばん稼ぐからね。」 と、無邪気な笑顔で私に言った。 私は、「気をつけるんだぞ!」と笑顔で答えたが、心の中では、「ばんばん」という言葉がすごく気になって、複雑な心境だった・・・ メーオが仕事を始めるにあたって、まず最初にメーオが働くお店を決めなければならなかった。 今までは、メーオのママさんが、売春を行う旧特殊飲食店のオーナーと話をつけ、メーオ達が働く店舗を借りていたので、メーオは、家賃を払うだけでよかったのだが、これからは、店舗を借りる交渉を、メーオ自身でしなければならなかった。 店舗を借りること自体はさほど難しいことではなかったのだが、やはり、それは商売なので、立地条件がいい店舗を借りる必要がある。 正直、この店舗選びだけで、売上の何割かは上下動してしまう問題なだけに、店舗選びは慎重を期さなければならなかった・・・ しかし、そういう立地条件のいい店舗は、既に借りられていて、メーオ個人の力では、どうにも立地条件のいい店舗を借りることができなかった。 そこでメーオは、ダメもとで、メーオの前のママさんと仲が良かった、別のママさんに話をしてみた。 私としては、前のママさんとメーオの間には色々あったので、このママさんの所にも、「いろんな意味で悪い噂が回っていないか?」と少々心配していたのだが、意外にもあっさりOKで、そのママさんの口添えで、黄金町のメインストリートと呼ばれていた、「パフィー通り」の店舗を所有するオーナーと話をすることができた。 そのオーナーは、台湾人とのことで、日本語に難のあるメーオの通訳として、私も同行することにした・・・ そのオーナーの方は、台湾人の女性の方で、年の頃は、40後半という感じだった。 黄金町に関係していた人に、このような言葉を使うのは、正直抵抗があるのだが、優しそうで感じのよさそうな女性だった・・・ そのオーナーとの交渉は、あっさり終了した。 なぜなら、別に契約書を交わすわけでもなく、単純に、一日の賃料に関してお互い納得したら、その場で鍵を渡されて、契約完了だからだ。 あまりにあっけない契約に、ちょっと拍子抜けしてしまった私だった。 なぜなら、個人的には、ママさんの家にメーオの借金を払いに行った時ぐらいのプレッシャーを想像していたから(笑 とりあえず、メーオはこれで、黄金町のメインストリートに、店舗を構えるフリーランスの売春婦になったわけだ。 メーオは、オーナーからもらった鍵を手に、「がんばるぞー」と、空に向かって叫んだ。 私はそのメーオの底抜けに元気な声を聞きながら、たとえようのない暗い気持ちに沈んでいた・・・ |
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