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2007-11-25 Sun 02:04
メーオと別れた後、私は契約が残っている都内のマンスリーマンションに戻った。
横浜に戻ってもよかったのだが、思い出が色濃く残っている横浜のマンションより、こちらのマンションのほうが過ごしやすいと思ったからだ。 でも、やっぱりメーオが帰った最初の夜は、寂しさで心が押しつぶされそうだった。 一人には慣れているつもりだったのだが、いつの間にか誰かが一緒にいる生活というものにどっぷりとはまっている自分に気がついた・・・ しかし、人間とはよくできた生き物で、ほんの3日程度で、一人に対する免疫はついたようだった。 メーオの事を忘れたわけじゃないが、「過去のいい思い出。」と割り切れるようにもなったようだった。 そうなってくると、いつまでもこの都内のマンスリーマンションに宿泊しているのも無意味なものに思えてきた。 なので、私は、意を決して、横浜に戻ることを決めた。 マンスリーマンション自体は、もう少し契約があったのだが、そう日のうちに契約を解約し、横浜のマンションに移動した。 久しぶりの横浜のマンションは、私たちが出て行った時のままの状態で、私を出迎えてくれた。 でも、うっすらと埃をかぶったテーブルが、私とメーオが過ごした時間が、もう遠い過去なんだという事を改めて認識させてくれた。 しかし、ひとつだけ、明らかに、最近を感じさせるものがあった。 そのテーブルの上には、手紙と何かが入った封筒が置いてあった。 その手紙に手を伸ばすと、それはメーオからのものだった。 恐らく、以前来た時に、置いておいたものなのだろう。 私は、深呼吸してその手紙を読んだ・・・ 親愛なる カスへ この手紙を読んでいるという事は、私はもうタイに帰った後だと思います。 面と向かって言うと涙が出てきそうなので、手紙を書こうと思います。 最初、カスを見たとき、私は、カスの事を、当時、私のお店の斜め前で働いていた、Jちゃんのお得意さんだと思いました。 当時、Jちゃんの所によく出入りしていた男性とよく似ていたので、そう思いました。 なので、カスが私のお店のドアをノックした時、正直、厄介なお客さんが来たと思いました。 「厄介な」というのは、今後のJちゃんと私の関係に、微妙な影響をおよぼすんじゃないかと思ったのです。 その為、最初の頃は、カスの事を、お客以上の人とは思わないようにしてました。 出会った頃は、私のこと冷たい女だと思ったでしょう? でも、その頃は、私も日本に来たばっかりだったんで、周りの女性たちとの関係に気を使っていたの。 だから許してね。 でも、Jちゃんとカスが関係無いという事がわかった時は、私はとてもうれしかったです。 なぜなら、他のお客さんと違い、カスには、特別な感情を抱いていたからです。 そして、私の神様への願いが通じたのか、カスは私の特別な人になり、私がいろんな問題に直面しているときも、私を見捨てず励ましてくれました。 私は、黄金町で働いていた女性の中で、最もハッピーな女だったと思います。 他の女の子たちは、悪い男に引っかかったりして、ひどい目にあった子が多かったのですが、私はカスのおかげで、まともな生活がおくることができたと思ってます。 今後、私たちがどのようになっているのかはわかりませんが、何があっても私はカスを忘れません。 本当にありがとう。 心からそう思ってます。 最後に、テーブルに置いているお金は、カスが私の為に払ってくれた300万の残りのお金と、私の気持ちです。 どうか受取ってください。 カス、お金がすべてではないけど、お金は重要なものなのよ。 今度は、私みたいな悪い女の為に、300万ものお金を、簡単に肩代わりするような事はしないでね。 でも、そういうやさしい気持ちは、忘れないでね。 メーオ 封筒には、300万のうちの残り100万と、50万円が入っていた。 私は、「こういうところが、妙に律義なんだよな・・・」とひとりごちた。 そして、この横浜の部屋に戻ってきたことを後悔した。 やっぱり、メーオの事を完全に、「過去のいい思い出。」にするには、少々早すぎたようだった・・・ |