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2007-12-20 Thu 12:43
そして、とうとう、メーオの家族と主要親族との食事会の時間となった。
私とメーオは、一番最後に到着したようで、会場となるレストランでは、もう食事会が始まっていた。 私は、「どのような視線で、みんなに見られるのか?」と、かなり緊張していたのだが、意外にも、メーオの親族の方々は、私を温かく迎えてくれた。 メーオに教えてもらった、タイの挨拶である「ワイ」を、私のほうから積極的にしたからかもしれない(笑 そして、一番の鬼門である、メーオのお父さんだが、これもまた、意外なほど気さくに私を迎え入れてくれた。 メーオのお父さんは、かなりタイの訛りがひどい英語を話した。 とくにタイ人特有の、時間による動詞変化を使わない英語を話すので、現在の事を話しているのか?過去の事を話しているのか?わからない時が多々あってかなり困った。 そんな困っている私を、メーオは横目で見ながらクスクス笑っていたが、私は、メーオのお父さんにいい印象を与えようと、全神経を耳に集中し、メーオのお父さんとのコミュニケーションを続けた・・・ メーオの親族の方は、年配の方でも英語をそこそこ話す事ができ、私としては非常に助かった。 ただ、コミュニケーションが取れるという事は、私とメーオの関係も根ほり葉ほり聞かれるという事でもあった。 私の事を根ほり葉ほり聞かれるのはまだいいが、二人の出会いなどを聞かれるのは、本当に困った。 まさか、「売春をしていたメーオのお客として知り合いました!」なんて言うわけにもいかないので、このあたりは、前もってメーオと話を合わせておいた・・・ 今思えば、本当に笑い話だが、なんとメーオは、お父さんと親族の方々に、アメリカのサンフランシスコに働きに行っていると嘘をついていたことがわかった(驚 メーオが日本にいた時、世界時計を見て時間を考えながらタイに国際電話をかけていた理由が改めて分かった(苦笑 そんな大それた嘘をつくメーオもメーオだが、それを信じていたメーオのお父さんと親族の方々には、もっと驚いた(笑 まあそんなこともあり、私とメーオは、サンフランシスコで出会った事になっていた。 ただ、メーオの親族の中に、サンディエゴの大学に留学していた人がいて、その人から、色々と西海岸の昔話をされたのは、ちょっとつらかった。 しかし、以前プロジェクトでサンフランシスコに飛ばされた事があったので、その時の知識をフル活用して、その方の質問をすべて乗り切った。 その当時は、苦痛の何物でもなかった海外出張の経験が、こんなところで役に立つなんて、本当に人生とはわからないものである・・・ そして話も進んでいくと、恐らく出るであろうと思っていた質問が、親族のおばちゃんから飛び出した。 「2人は結婚するの?」 その質問に、メーオの親族たちは、待ってましたとばかりに歓声を上げたが、私、メーオ、そしてメーオのお父さんは心から笑えてなかった。 とりあえずメーオが、「まだわからないわ!」とだけ答えてその場はおさめたが、私とメーオのお父さんは苦笑いをするしかなかった・・・ そんな感じの食事会もやっと終わり、私、メーオ、そしてメーオのお父さんは、メーオの家(正確にはメーオのお父さんの家)に帰った。 メーオのお父さんは、少々酔っぱらったようで、自分の部屋に戻りさっさと寝てしまった。 メーオのお父さん、そして親族からの質問攻勢にちょっと辟易としていた私は、ソファーに深々と腰掛け、解放感から深いため息をついた。 メーオも少し疲れたようで、私の横に腰をおろし、私の肩におでこを乗せ、ちょっと休んでいるようだった。 私は、おもむろにでTVをつけ、TVから流れてくるタイの番組をBGMにしながら今日の事を考えた。 「恐らく、メーオのお父さんや親族に、いい印象は残せただろう・・・」 「これだけでも、メーオに会いにわざわざタイに来た価値はあった。」と思った。 後は、私とメーオで今後の事をきちんと話し合えば、今回の訪タイの主要な目的は終わる。 問題は、「そのことをメーオといつ話し合うか?」というタイミングだけ・・・ なので、できるなら、メーオと二人きりになれる時間がほしいと思っていた。 そんな事を考えていると、メーオが、「明日からは、フアヒンというところに行くからね。」 「フアヒンは、私が好きなリゾート地なの。」 「静かでいいところだから、二人でゆっくりしましょう。」と言ってきた。 「フアヒン?」 聞いたこともない場所に、私は少々戸惑ったが、メーオと二人っきりになれるまたとないチャンスだと思い、即、「わかったよ!」とだけ伝えた。 私の即答に、メーオは優しい微笑みを返し、「それじゃシャワーを浴びて寝ましょう。」と言った。 それから私たちは、別々にシャワーを浴び、そして別々の部屋で就寝した。 もちろんメーオの家で、「同じ部屋でメーオと一緒に寝よう!」なんて考えは毛頭なかったのだが、やはりメーオが近くにいるのに別々に寝るのは、ちょっと寂しいものがあった。 寂しさから寝付けないでいた私は、フアヒンというリゾート地で、メーオと過ごす楽しい時間の事を色々と考えていたのだが、いつの間にか深い眠りに落ちて行った・・・ |
2007-12-18 Tue 13:04
私は、まさに「貪る」という表現がぴったりくるかのようにメーオを求めた。
今までいろんな事が鬱積していた分だけ、ちょっと暴力的にメーオを求めたと思う。 そんな私を、メーオはどのような気持ちで受け入れたのだろうか? 私は絶頂に上り詰めた瞬間に、まるで、はじめて自慰をした時のような、ひどい罪悪感に駆られ、メーオの顔を見ることはできなかった。 メーオとつながったままの状態で、乱れた息を整えようとした。 そんな私の頬に、メーオは優しく手を添えてくれた。 そして、何も言わずに、私の唇に、軽くキスをして、「もう一回シャワーを浴びないとね?」と、微笑みながら言った。 いつもと変わらないメーオのようにも思えたが、それは私の自惚れにすぎないだろう・・・ 私達は、2人別々にシャワーを浴び、身支度を再度整えてリビングに移動し、メーオが用意してくれたオレンジジュースで喉を潤した。 私は「二人の間に気まずい時間が流れるんじゃないか?」と思っていたが、メーオは今までと同じように私に接してくれた。 別段、無理をして饒舌になっているわけでもなく、本当に自然な雰囲気を作ってくれた。 そのメーオの作り出す雰囲気に、次第に引き込まれていき、私も、ごく自然な感じでメーオとしゃべれるようになってきた・・・ メーオは、「帰国してどのような事をしていたか?」を私に話してくれた。 ほとんどが、親族への、帰国の挨拶に時間を取られていて、とても大変だったらしかった。 この時のメーオの話から、「メーオの家族間のつながりはとても強い。」という事がわかった。 そのような親族の場に、「どこの馬ともわからない外国人がいきなり出て行けば、それ相応の対応を受けるだろう・・・」と、私は今晩の食事会への覚悟をより一層深めた。 そんな事を考えながら、今晩の食事会のキーマンになる人を色々と聞きだしていた。 それは、今後、「私たちの関係がどうなるか?」にかかわらず、メーオが海外で世話になった人物が、「どこの馬の骨」程度の人物という評価で終わらせない為の、私の意地だった。 それに、私がきちんとした男性なら、メーオのお父さん、そして親族からのメーオに対する評価も、「今後、いい方向へ向かうだろう?」と、これまた自惚れた考えもあった(笑 そんな話を2・3時間していると、とうとう、メーオのお父様、そして主要な親族とのお食事会へと向かう時間となった。 私は、日本でもそうそう着ない上等の長そでシャツに袖を通し、これまた滅多に使わない整髪料で髪型を整え、鏡の前で身だしなみ整え、メーオにチェックしてもらった。 メーオは、「へ~カスもそういう着こなしができるんだ?」みたいな事を言い、私を茶化した。 私は、「今まで、このような洋服でエスコートする女性が、私の周りにはいなかったからね~」と、メーオを茶化し返した。 メーオは、「OK、私は別の男性にエスコートしてもらうからそんな挑発には乗らないわ!」と、笑いながら答えた。 私は、そのメーオの言葉に、笑いながら答えていたが、「別の男性」という言葉に胸が痛んだ・・・ |
2007-12-17 Mon 17:57
メーオの実家は、私がタイに来る前のメーオのイメージを完璧に壊してくれた。
私は、正直なところ、「メーオがバラックみたいな所に住んでいたらどうしよう?」と思っていたのだが、メーオの実家は、私の実家より十分大きかった(笑 リビングには、メーオをご両親の写真、そしてメーオ達の写真がいっぱい飾られていた。 その中でも、私はメーオの大学時代の写真に目がいった。 それは、シャツにスカートという、タイの大学生の制服を身にまとい、友達と笑い合っているメーオだった。 私は、この当時にメーオにあっていたとしても、すぐに恋に落ちていただろうと思った・・・ メーオは、「何、ニヤニヤしているの。」「スケベね~」「日本人は制服がほんとに好きね~」と私の顔を覗き込んできた。 私は、「ちがうよ、制服を見てたんじゃなくて、メーオの笑顔をみていたんだよ!」と弁解したが、「そうやってムキになるところがますます怪しいわ~」とますますおちょくられてしまった(笑 とにかく、どう説明しても、メーオは私を変態扱いするので、私は話を今晩のお父さんとの食事会の話に変えた。 私は、タイにおける目上の人と会うときのマナーをメーオに訪ねた。 メーオは、とにかく最初にワイをすることの重要性を説明してくれた。 後は、細かな食事のマナーを色々と説明してくれた。 その説明を受けて、私はなんとかその食事会を乗り切れると確信した。 ただ、一点だけ、私はメーオに確認しておきたいことがあった。 私はその説明は、正直、今回の訪タイの根幹なので、タイについたばっかりの日に聞きたくなかったのだが、メーオのお父さんと、初日に会うのなら話は別である。 私は、意を決してメーオに、「私はメーオとどういう関係と、お父さんに説明しているの?」と尋ねた。 するとメーオは、「「大変お世話になった、とても大事な人」と言ってあるわ・・・」と答えた。 私は、正直、そのメーオの答えに、「今回の訪タイの目的はすべて終わった。」と思った。 私とメーオは、しばらく何も離さないで、その場に立っていた・・・ 少しの沈黙の後、先に話を切り出したのは、メーオの方だった。 「さあ、カス、シャワーを浴びて。」「汗でべとべとでしょ?」 確かに私は、メーオのお母さんのお墓参りの際に、汗をたくさんかいてしまっていたので、シャワーを浴びたかったが、さすがに、メーオの実家でシャワーを浴びるわけにもいかないので、メーオに、「とりあえず、予約しているホテルに連れて行ってくれないか?」とお願いした。 するとメーオは、「カス、ホテルに泊るつもりだったの?」「私の家に泊まれるように、部屋を用意していたのに!」と、声を張り上げた。 私は、「さすがに、メーオの実家に泊まるわけにはいかないでしょ?」とメーオに言った。 するとメーオは、「なぜ?」と聞いてきた。 私は、そのメーオの質問に、少々いらつきながら、「だって、結婚前の娘の実家に、男性が泊まるなんてナンセンスでしょ?」と答えた。 でも本当は、「結婚前の娘の実家に、彼氏でもない男性が泊まるなんてナンセンスでしょ?」と言いたかったのだが、あえて、「彼氏」という言葉を使わないでいた・・・ メーオは、「なに気を使っているの?」「そんな事はどうでもいいから。」「ところで、予約していたホテルの名前は解る?」と、私の思いなどまるで関係無いかの様に自分のペースを作り上げていった。 私は、ホテル名前と宿泊の日程を、メーオに告げた。 するとメーオは、すぐさま携帯を取り出し、どこかに電話をかけながら、私に、「とにかくシャワーを浴びて!」とバスタオルを私に投げてよこした。 私は、携帯をかけているメーオを横目で見ながら、メーオの実家でシャワーを浴びることへの、言いようのない期待感と罪悪感を感じていた・・・ シャワールームから出て、新しい洋服を着ようとリビングに行くと、私の荷物がきれいさっぱりなくなっていた。 私は、腰にバスタオルを巻いた状態で、メーオの家に、一人取り残されているような状態になってしまった。 この状態で、メーオの親族でも来ようものなら、私の立場は間違いなく悪くなる・・・ あせった私は、リビングからできる限りの声で、メーオの名前を叫んだ。 すると、私の問いかけに、メーオは答えてくれた。 メーオの声は、二階から聞こえてきた。 メーオは、私に、「二階に上がってきて!」と言った。 私は、メーオの声がする方に歩いて行った・・・ メーオは、私の部屋に荷物を運びこみ、ちょうどベッドメイキングをしていた。 私は、その光景を見ながら、ちょっと軽い興奮を覚えた。 「今、メーオに抱きついたら、メーオはどんな反応をするだろうか?」 受け入れられる? それとも 拒絶される? ・・・・・・・・・・・・・・ あまり感情や欲求で行動する私ではないのだが、このときばかりは、メーオの事など考えず、自分の欲求を満たすためだけに行動した。 私は、ベットメイクをしていたメーオに抱きついた。 メーオは、最初こそ体を強張らせたが、すぐに体の力が抜けて行った。 つい先ほどまでは、メーオの家でシャワーを浴びることすら躊躇していた男が、メーオの家で Sex をしようとしている。 そんな矛盾を頭の片隅で考えつつも、私はメーオを押し倒し、今まで我慢していた欲求を、すべてメーオに吐き出した・・・ |
2007-12-16 Sun 15:58
初めて見るバンコクの街は、私が働いている新宿の混沌としたイメージと見事に重なった。
街にはエネルギーが充ち溢れているが、いろんな意味で陰と陽がまじりあっていた。 タイは、敬虔な仏教の国らしいが、神様はタイの人々を、平等にやさしい光で照らすことはしないようだ・・・ そんな事を考えていると、私たちを乗せた車は、ジェイクのコンドミニアムについた。 そのコンドミニアムは、日本の高級マンションに勝るとも劣らない感じだった。 ジェイクとメーオのお姉さんは、タイの神様から、優しい光で照らされ、タイではそれなりに輝いているのだろう。 私は、「メーオは「陰」で、お姉さんは「陽」か・・・」と、呟いた。 メーオは、私が日本語をしゃべったのは理解したようだが、内容までは解らなかったようで、不思議そうな顔をして私を見た。 私は、「何でもないよ!」というジェスチャーのつもりで、片手をヒラヒラと振り、私の話の内容を深く詮索されないようにした・・・ そして、とうとうメーオのお姉さんと初めてお会いする時になった。 メーオのお姉さんは、メーオの顔をもう少しキツめにした感じの女性だった。 そして、「はじめまして、カス。」「私はメーオの姉のニーナです。」と完璧な英語で自己紹介された。 メーオのお姉さんは、なんというか・・・自信に充ち溢れた人だった。 メーオは、性格は明るいが、どこかコンプレックスを持っているのが感じ取れた。 しかし、メーオのお姉さんには、そういうところが全く感じられなかった。 私は、そんなお姉さんにちょっと警戒心を抱きながらも、なるべくその気持ちを悟られないように注意した。 リビングに通された私は、まるで動物園のパンダのようにメーオのお姉さんに観察された。 初めて会ったときからなんとなく感じていたのだが、私の外見だけじゃなく、私の振舞いやマナーをしっかりとチェックしているようだった。 また、私の仕事内容に関しては、事情聴取かのようにいろんな事を尋ねられた。 さすがにメーオも、メーオのお姉さんの質問が、私のプライベートにあまりに踏み込んでいると思ったのか、途中、お姉さんの質問を遮る事があった。 メーオのお姉さんは、その度に私に「ごめんなさいね~」というのだが、ものの数分もするとそのことを忘れてしまい、私への事情聴取を開始した(笑 メーオのお姉さんは、「メーオが私に男性を紹介するのは初めてのことなの。」「だからどんな男性なのかすごく興味があったの。」と私に笑いながら言った。 私も、その言葉に、「いえいえ、全然問題ないですよ。」「何を聞かれてもボロは出しませんから。」とちょっと嫌味をこめて答えたのだが、メーオのお姉さんは、そんな嫌味など歯牙にもかけない様子だった・・・ 私が、メーオのお姉さんに対して、少々窮屈な感じを抱いたのをメーオは察知したのか、「じゃあ私たちはお母さんの所に行ってくるから。」と言い、ジェイクの家をお暇することになった。 メーオのお姉さんは、タイ語でメーオに何かを言い、そして私たちは、メーオのお姉さんのコンドミニアムを後にした。 メーオに、「最後、お姉さんと何を話したの?」と尋ねると、「今晩の予定について。」とメーオは言った。 私は、「今晩の予定って?」と聞き返したら、メーオは、「今晩は、私のお父さんとご飯を食べるからね。」と言った。 私は、いきなりメーオのお父さんと食事をするという事実に、少々ビビッてしまった・・・ メーオは、私ににっこりとほほ笑み、「大丈夫、食べられたりはしないから。」と、ありがちなジョークを言った(苦笑 その後、しばらく車で移動すると、大きいお寺についた。 ここにメーオのお母さんは眠っているらしかった。 私はメーオの後を、まるで飼い犬のようについて行った。 そしてあるお堂のところの、女性の写真が埋め込まれているところでメーオは止まった。 そして私に向きなおり、「これが私のお母さん。」と、メーオのお母さん紹介してくれた。 メーオのお母さんの目は、メーオの目にそっくりで、私が大好きなメーオの微笑みに似た表情を向けていた・・・ 私は、とりあえず、その写真に一礼をし、心の中で自己紹介をした。 メーオは、その写真に手を合わせ、タイ語で何か話していた。 私は、メーオがお祈りを済ますまで、炎天下のなかじっと待っていた。 乾期のタイは涼しいと聞いていたが、日本人の私には、べっとりと汗をかくには十分な暑さだった・・・ 長いお祈りもようやく終わり、「メーオはそれじゃ家に行こうか?」と言った。 私は、肌が透けるほど濡れたシャツの背中を見せ、「もう少しかかるんだったら、その池に飛び込むつもりだったよ。」と蓮の花が咲いている近くの小さな池を指差した。 メーオは、「そんなことしたらお釈迦様が怒って天国に行けないわよ。」と笑いながら言った。 私も、「それは大変だ。」「そんな事にならないように、早くクーラーが効いたところで、冷たいものでも飲もう。」とメーオに言い、メーオの手を取り、車の方まで歩いて行った。 でも、心の中で、「メーオ、私は今、既に天国にいるよ。」と囁いた・・・ |
2007-12-01 Sat 10:59
バンコク ドンムアン国際空港・・・
今は、スワンナプーム国際空港にその機能を譲り、いくつかの国内線の発着空港として、細々と稼働しているが、私が初めてタイについた時は、この国際空港は、国際都市バンコクの玄関口の名に恥じず、いろんな国籍の人たちでごった返していた。 私はドンムアン空港のターミナル2に到着した。 飛行機から降りると、湿度を含んだ生暖かい空気が私の体にまとわりつき、アジア特有の香辛料の匂いが鼻についた。 荷物を受け取り、ゲートを抜けると、そこは出迎えの人たち、そして旅行者への車の斡旋をする人たちであふれかえっていた。 私はその光景に、少々、ゲッソリしつつ、メーオとあらかじめ話していた通り、ゲートを出て右側方面に歩きだした。 ゲートを出て右側方面は、左側方面と違い、出迎えの人たちや客引きなどはほとんどいなかった。 でも私の50m程前方に、つい最近まで毎日見ていた女性が、手を振りながら立っていた。 私は最初こそ普通に歩いていたのだが、自然と足早になり、終いにはその女性のところまで駆け寄っていた。 私は、人眼もはばからずメーオを抱きしめながら持ち上げ、その場でグルグルまわった(笑 さすがに、メーオもこれには恥ずかしかったのか、笑いながらも、周りを気にしながら、「カス、恥ずかしいわ・・・」と言った。 私は、その言葉を聞いて、やっと我に帰った。 そして、「久し振りメーオ。」「会いたかったよ。」と言って、メーオの頬にキスをした。 メーオは、「Welcome to Thailand!」と言って、私の唇に軽くキスをし、「私も会いたかった・・・」と言ってくれた。 それからしばらくの間、私たちは、ドンムアン国際空港のロビーで抱き合っていた・・・ たぶん、お互い抱き合っていた時間は1分もなかったと思うが、私の中では、かなり長い間、メーオを抱きしめていたような気がした。 そんな幸せな時間がを満喫していた私だが、ふと、視線を上げると、私たち二人を、ニヤニヤしながら見ている、中華系の男性がいるのが見えた。 私は、その男性の笑い顔が、少々気に入らなかったので、メーオを抱きしめていた手をほどき、どこかへ移動しようとしたのだが、メーオが、「あっ、忘れてたわ。」と言い、その中華系の男性に向き直った。 そして、「カス、彼の名はジェイク。」「私の姉の旦那さんよ。」と言った。 ジェイクは、私に対して、拝むポーズをし、頭を下げた。 タイ人のあいさつの、「ワイ」である。 私も、「さっきまでの警戒心はどこへやら?」という感じで、ジェイクにワイで挨拶をした。 ジェイクは、メーオと共に、私をドンムアン空港まで迎えに来てくれたらしい。 重い荷物を持ってきている私の為に、メーオが連れてきてくれたらしかった。 ジェイクは、私より、ちょっと年上の、とても気さくな中華系タイ人だった。 英語は、ほとんどしゃべれなかったのだが、ボディランゲージを駆使し、私とジェイクは、すっかり打ち解けた。 仕事で、ボディランゲージを使わざる得ない国によく送り込まれていた事に、このときばかりは感謝した(笑 ボディーランゲージで、ジェイクといろいろとコミュニケーションを取っていると、メーオが車を持ってきた。 メーオが乗ってきた車は、ヨーロッパの外車だった。 勝手に、おんぼろ車を想像していた私は、少々驚いた。 その驚いている私に気づいたメーオは、「なに?」「どんなおんぼろ車が来るかと思ってたんでしょ~」と言ってきた。 私は、メーオに私が想像していた、「バンコクでのメーオ」を話すのは、かなり失礼だと考え、「そんな事はないよ。」「ただ、日本でも高級車をメーオが乗り回してるなんて思わなかったから・・・」とメーオの質問に対して、曖昧な回答をした。 するとメーオは、「これは私のお父さんの車だからね。」といい、私とジェイクに、早く車に乗るように合図した。 私とジェイクは、あわてて車に乗り込み、私たちが車に乗った事を確認したメーオは、インディケーターを上げ、車を発進させた。 私は、「これからどこに行くのか?」メーオに訪ねた。 するとメーオは、「とりあえず、ジェイクに家に行くわ。」「最初に、私の姉を紹介するわね。」と言い、ドンムアン国際空港から、タイの主要道路に入っていた・・・ |
| 黄金町の天使 |
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