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2008-01-09 Wed 15:17
シロッコ(Sirocco)とは、シャングリラホテルの手前の信号にある、State Towerの63階にある、オープンエアのレストランだった。
ホテルの屋上にこんなレストランがあるなんて、正直驚いた。 日本でもやればできるのだろうが、色々と法律があってできないのだろう。 それを実現しているバンコクは、いろんな意味ですごいと思った・・・ こんなところでディナーを食べようものなら、よほどの事がない限り、今晩私がやろうとしている事は、「失敗しないだろう?」と思った(笑 そんな雰囲気のいい場所でのディナーも滞りなく進み、お酒も体に回った頃、私は今まで聞きづらかった事をメーオに質問した。 「メーオの家って、バンコクでも生活レベルが高いと思うんだけど、なんで日本にあんな仕事をしに来たの?」 「もちろん、バンコクにお店を出すためというのは聞いたけど、あのお父さんなら、それなりの援助はしてくれるんじゃないの?」 メーオはしばらく黙っていたが、私の質問に対して、ようやく重い口を開いた・・・ 「すべてはお姉さんへの対抗心かな・・・」 「私は姉さんの事が好きだけど、一番苦手でもあるの。」 私は、初日にお会いしたメーオのお姉さんの事を思い出し、なんとなくメーオが言いたい事は解った。 でも、それと、メーオが日本に売春に来た事は何の接点もないように思えたので、その事について深く突っ込んだ・・・ 「姉さんは、ジェイクと結婚したことで、ジェイクファミリーの後ろ盾を手に入れたの・・・」 「それで、ジェイクのお金を元手に、色々とビジネスを広げていっている。」 「私はそれに負けたくなかったの・・・」 「そして姉に完全に勝つためには、誰の手も借りずに、自分の手でビジネスを成功させる事だと思い、ああいう手段を選んだの。」 と説明してくれた。 ただ、お姉さんもお父さんも、メーオがアメリカ以外の国で、メーオがよからぬ仕事をしてきたことをうすうす感づいているらしい。 まあ、常識ある大人なら誰でもわかることだろう。 しかし、自分のファミリーがそんな事をしてきた言うのがばれると世間体的に良くないという事で、お父さんもお姉さんも、メーオを問い詰めないだけらしい・・・ 私はメーオになんと声をかけてよいかわからなかったが、とりあえず重くなった話を少し軽くするつもりで、「じゃあ、これからが勝負だね。」と言い、メーオの前にワイングラスをかざした。 メーオもそれに答えてくれて、日本語で、「カンパイ」と言い、グラスを重ねてくれた。 そして、「もう少し夜景の見えるところに行こうか?」とメーオを、先端にあるスタンディングバーへ誘った・・・ 眼下に流れるチャオプラヤー川を見ながら、私達は日本で起こったことを色々と話した。 当時は、苦しくて、辛くてたまらなかった事なのに、今では昔話として笑って話す事が出来た。 こんな日が来るなんて、あの当時は想像もできなかったのに・・・ そんな話をしていた私達だが、急に会話が途切れた。 そして、それを合図に、私はメーオに、「結婚しよう。」と突然プロポーズした。 するとメーオは、私の周りを見渡し、「婚約指輪はどこにあるのかな~」と、冗談で返してきた。 私はそれを、メーオなりの照れ隠しか何かだと思っていたが、そうではなかった・・・ メーオは、私の眼を見ながら、「カス、ありがとね。」「こんな私にプロポーズしてくれて・・・」 「でもね、カスは私みたいな汚れた女と結婚すべきじゃないの。」と言った。 私は、そのメーオの言葉に狼狽してしまった。 そして、ありとあらゆる言葉で、自分の気持ちを伝え、なんとかメーオにプロポーズを受け入れてもらおうと頑張った。 しかしメーオの意思は固く、私のプロポーズを受け入れることはなかった。 でも、「好きだけど結婚はできない・・・」という、最も陳腐な言葉がメーオの口から出てきたときに、私はすべてを諦めた。 それは、メーオと出会って、1年9ヶ月が経った、2005年3月の事だった・・・ |
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