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売春・人身売買・麻薬・殺人・・・メーオと過ごした1年10ヶ月
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さよならメーオ
2008-01-12 Sat 00:50
メーオと別れた後、私はホテルのバーに行った。
最初こそ部屋でいろいろと考えていたのだが、部屋で考え込むと、いろんな事に胸が押しつぶされる様な感覚に襲われてしまった。
なので、人が多い場所に溶け込むことで、少しでも気持ちを紛らわせようと考えた・・・

そのホテルのバーは、結構ざわついていた。
本来なら、そういった雑音は不快なものなのだが、今の私には心地よく聞こえた。
そのバーのざわめきの中に一人溶け込み、私は現在抱えている問題について色々と考えた。
でも、当たり前だが、その場で回答を出す事などできなかった。
なので私は、もう一度気分を変えるために、ホテルの外に出ることにした・・・

私は一人でバンコクの街を歩いた。
バンコクは、なんというか、いろんな意味でエネルギーに充ち溢れた街だった。
私が今まで仕事で行った都市の中でも、恐らく上位にランクされるぐらい魅力的だと思った。
でも、やはり、華やかな部分の裏の部分がひどく目についてしまう国だとも思った。
そのような国で、「現在の生活レベルを落としてまで住むめるのか?」という部分は、やはり私の心の中に暗い影を落としていた。
結局その晩は、有効な回答が出せないまま部屋に戻り、いつの間にか眠ってしまった・・・

次の朝は、チェックアウトの日という事もあって、いつもの習慣で、結構朝早く目が覚めた。
まあ、これは、海外出張に行かされて、帰国日に飛行機に遅れないために身につけた、一種の特技である(笑
シャワーを浴び、ブレックファーストを食べ、余裕をもって荷造りをし、チェックアウトをする前にメーオに電話した・・・

タイ最終日も、メーオがバンコクを案内してくれることになっていたので、私は、「これからチェックアウトをする。」という事をメーオに伝えた。
メーオは、「後、30分ほどで、迎えに来れる。」と言ったが、私は、「それならば、約1時間後だな。」と、メーオ時間に、頭の中で計算した(笑
そして、メーオは私の計算通り、電話してから1時間後にホテルにやってきた・・・
メーオは、「ごめんね~」といいながらホテルのロビーに入ってきた。
私は、「大丈夫だよ。」「遅れてくることは解っていたから。」と、ちょっとからかうと、メーオはちょっとふくれっ面をしてみせた・・・

タイ最終日と言っても、飛行機は夜中なので、バンコクでメーオと楽しむ時間は十分あった。
2人でショッピングセンターに行ったり、観光地を回ったり、映画を見たり、食事をしたりして、私達はデートを楽しんだ。
でも、そのデートの間、私達が、結婚についての話をすることは一切なかった・・・

そして時間は進み、私達はドンムアン空港へ移動した。
早めに空港に着くようにしたつもりだったが、途中、ひどい渋滞に巻き込まれてしまった。
ドンムアン空港に向かう高速の上で、ほとんど車が動かなくなってしまい、私はちょっと焦ってしまった・・・

今頃は、空港の喫茶店でメーオと話をしている予定だったのだが、渋滞のせいでそれはできなさそうに思えた。
メーオもちょっと焦り始めているようだったので、私は、「心配しなくていいよ、メーオ。」
「遅れたら、また別の日に帰ればいいんだからさ。」「マイペンライ!ってとこだよ。」と言った。
するとメーオは、「このままタイに住んじゃえば?」と言った。
私は、それに対して、「そうだね。」と軽く相槌を打ったが、それからしばらくして、「メーオがこのまま日本に来るという手もあるよ。」と言った・・・

メーオは、「私は、1年間日本に入国できないでしょ~」と、笑いながら答えたが、私は、「一年ぐらいすぐだよ。」「だから、この1年で結婚の手続きと、メーオの日本人配偶者ビザの申請をしようよ。」
「そして、私と一緒に日本に住んでくれないか?」と、メーオに話した。
メーオは、「それはタイには住みたくないということ?」と、私に質問を返した。
私は、「将来的にはわからないけど、最初は日本で私がメーオを養う形で生活したいんだ。」「そして、お互い年をとってからタイに移住すればいいじゃない?」と、私の正直な気持ちをメーオ伝えた・・・

その時、ドンムアン空港へ向かう高速がノロノロだが動き出した。
メーオは、私の質問には答えず、車を運転した。
私は、車の外を眺めたまま、「バンコクの景色もこれで見納めだ・・・」と考えていた・・・

メーオの車は、ドンムアン空港への駐車場にはいかず、出国ロビーの前に止められた。
そしてメーオは重い口を開いた。
「カス、私はやっぱり日本に行けない・・・」
私は、そのメーオの言葉で、メーオの気持ちをすべて理解した。
「わかったよメーオ。」「今まありがとう。」と言い、メーオの頬にキスをした。
そして、車の後部座席から荷物を取り出し、最後に、「幸せになってね、メーオ。」と言いったが、メーオは、ハンドルに突っ伏したまま何も言ってくれなかった。
私は車のドアを閉め、搭乗手続きの為に、航空会社のカウンターに向かった。
その間、メーオの車へ振りかえらなかったのだが、最後の最後で我慢できずに振り返った。
しかし、そこにメーオの車はなかった・・・

私は、フライトギリギリまで携帯の電源を入れ、メーオに電話しようかどうか迷ったが、結局メーオに電話をかけなかったし、メーオから電話がかかってくることもなかった。
私は、「これでタイともお別れか・・・」とひとりごち、携帯の電源を切り、飛行機に乗り込んだ・・・

そして、飛行機もいよいよ飛び立った。
眼下に広がるバンコクの夜景を見ながら、私は、「さよならバンコク・・・」とつぶやいた・・・

そして・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さよならメーオ・・・
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